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パンズ・ラビリンス  El laberinto del fauno

制作:スペイン、アメリカ

制作年度:2006年

監督:ギレルモ・デル・トロ

 

(あらすじ)

1930年代のスペイン。少女オフィーリア(イヴァナ・バケロ)は、母の再婚相手ヴィダル大尉(セルジ・ロペス)に連れられて、軍隊とともに山間の砦に移り住む。しかし、フランコ独裁政権の忠実な配下であるヴィダルの任務は、共和党派の山岳レジスタンスを殲滅することであった。

残虐非道な父と、身ごもって病気がちな母から相手にされず、孤独に苦しむオフィーリアだったが、ある日妖精に導かれて、パン(牧羊神)が待つ迷宮に辿り着く。

パンは、オフィーリアこそが地底王国の姫君の生まれ変わりだと語り、彼女を王国に返すために3つの試練を与えるのであった。

 

(解説)

デル・トロ監督の代表作。DVDで観た。

いわゆる「ダーク・ファンタジー」の名編である。

この監督好みの、ユニークな魔物がウジャウジャ出て来て、すこぶる気持ち良い。私は美少女も魔物もどっちも大好きなので、一本の映画で両方見られたのが嬉しかった。

ただし、ヴィダル大尉をはじめとするフランコ派軍隊の残虐殺人集団ぶりが、あまりにも誇張され過ぎな気がする。彼らはいちおうイデオロギー集団だったわけだから、ある程度は政治的な描き方をした方が良かったのでは?もちろん、映画が常にオフィーリアの視点から語られるのであれば、ある程度の子供っぽいデフォルメは許されるだろう。しかし、映画の作り方は散文調で、オフィーリア不在時の状況も神の視点で描かれていたのだから、ちょっとリアリティに欠けていた気がする。ここは、「ラスト・キング・オブ・スコットランド」のように、主人公視点に固定して語るべき映画だったのではないか?

また、ラストでオフィーリアの死に顔を見せたのは大失敗だと思う。あそこで、パンの迷宮が少女の現実逃避の妄想に過ぎなかったことを、はっきりと観客に教える必要があっただろうか?むしろ、「パンの迷宮こそが現実で、ヴィダルの悪逆非道こそが妄想だったのかも?」と観客に思わせておいた方が、ラストのファンタジックな余韻が高まったのではないだろうか?

などなど、この時期のデル・トロ監督は、まだまだバランスが悪い映画の作り方をしていた。だからこそ、「パシフィック・リム」での大成長を見ると、嬉しくなってしまうね。