歴史ぱびりよん > 映画評論 > 映画評論 PART1 > ローレライ
制作;日本
制作年度;2005年
監督;樋口真嗣
DVDで見ました。
福井晴敏原作、樋口真嗣監督という、若手が総力を結集して作った特撮映画なので、今後の日本文化を占う内容なのだろうな、と気合を入れて見たのですが。
いろいろな意味で衝撃を受けました。
まず、この映画の主な作り手が、私の少し上の年代で、いわゆる「80年代ポップカルチャー」の真っ只中で青春を送った人たちです。そのため、映画の内容も、まるっきり「80年代ポップ」そのものでした。
そういう私も、このムーブメントの中にいたので、ある意味「懐かしいなあ」と感じる場面も多かったです。ぶっちゃけ、「機動戦士ガンダム」と「超時空要塞マクロス」と「ルパン三世カリオストロの城(を中心とする80年代宮崎アニメ)」を足しっぱなしにしたような映画でした。
いちおうは、昭和20年8月の原爆投下を背景にした映画です。日本海軍の新型潜水艦に乗り込む主人公たちは、同胞の命をアメリカ軍から護るため、命がけの出撃をしたはずが・・・。艦内は妙にフヤケていて、まるで大学のテニスサークルみたい(笑)。おそらく、今の海上自衛隊の艦内だって、もう少し緊張感があるだろう!しかも、美少女が登場すると、みんな「少女を護る」ことに夢中になってしまい、国事そっちのけ。最期に少女が助かると、みんなで「良い娘だったよなあ。でへへへ」と言い合ったりして。
・・・なんじゃあ、こりゃああ!!!
いや、樋口監督をはじめとするスタッフの気持ちは良く分かる。宮崎駿を神のように信仰して青春を生きてきたのだね、君たちは。その気持ちは分かるぞ。
しかあし!
「昭和20年8月の原爆」を舞台背景にして「良い娘だったなあ、でへへへ♪」は無いだろうがあ!
明らかに、犠牲者たちに対する侮辱であり、冒涜ではあるまいか!
「自己嫌悪」もあるのですが、「80年代ポップカルチャー」世代には、哲学も思索もなく、大義も公もありません。「馴れ合い」と「萌え」が全てなのです。それが当然なのです。
・・・こういう連中が、これから日本の中心になるのですぜ。
この国の未来は真っ暗だな。
そう感じて、絶望に浸ることが出来たので、「勉強」になる良い映画でした。はい!