歴史ぱびりよん > 映画評論 > 映画評論 PART8 > 聯合艦隊司令長官 山本五十六
制作;日本
制作年度;2011年
監督;成島出
「太平洋戦争70年めの真実」と銘打って、半藤一利監修のもと、鳴り物入りで公開された映画。
主役の役所広司は、なかなか頑張っていたような気がする。家族の食卓シーンの描き方なども好きだったな。しかし、他がみんなミスキャストな上に、CGがショボくて、全てを台無しにしていた。
私は、最初から何も期待しないで観に行ったので(友人の付き合いだった)、心のハードルを低くしていたせいで、最後まで寝ずに観られた。結果的に、詰まらなかったけど。
だいたい史実の山本五十六が、「最後の最後まで戦争の早期終結を模索していた人物で、彼の立案した作戦は全て、戦争を終わらせるためだった」って本当かね?
客観的に観て、「真珠湾」以降の彼の作戦って、勝敗を無視した危険際まりないギャンブルとしか思えない。あのアメリカに、正面から航空決戦と称して「物量戦」で挑もうとした時点でアホウの匂いがする。どうしてもアメリカに勝ちたいのであれば、朝鮮戦争の中国軍か、ベトナム戦争の北ベトナム軍のように、ゲリラ戦で挑むしか無かったはずだ。
結果論かもしれないけれど、その事実に死ぬまで気付けなかった時点で、山本は愚将である。 だいたい、最前線で作戦を指導し続けた山本に、具体的に戦争を終わらせる方法など皆無であるわけだから(外交官じゃないし)、本人にその気があったとは思えないし、その証拠もない。全てが半藤さんその他の過大評価としか思えない。
カエサルでも信長でも竜馬でもケネディでも同じだが、道半ばで散った人って、後世から異常に過大評価される傾向にある。山本五十六も、それと同じことではないだろうか?