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映画評論

映画評論 PART9

復活の日  Virus

制作:日本

制作年度:1980年

監督:深作欣二

 

(あらすじ)

 1982年、研究機関から盗み出されたウイルス兵器MM-88の拡散によって、地球人類は絶滅した。ウイルスが届かない南極大陸を除いて。

 各国の南極越冬隊と原子力潜水艦を中心とする生き残ったわずかな人類は、なんとか活路を開いて生き延びようとする。

 しかし、米ソ両国が滅亡前に仕掛けた自動報復システムが、大地震によって起動されようとしていた。核兵器の照準は、南極基地にも向けられているはずだ。

 地震学者の吉住(草刈正雄)は、最悪の破局を食い止めるべく、廃墟と化したワシントンDCに向かうのだった。

 

(解説)

 角川映画の最高傑作。だけど総製作費32億だったので、配給24億の大ヒットを飛ばしたというのに大赤字。

 まあ、仕方ない。南極大陸でロケして、マチュピチュでロケして、本物の潜水艦をチリ海軍とカナダ海軍から借り受けて、世界各国の有名俳優をチャーターして。いやあ、よく頑張りましたよ。あの頃の日本映画界の稚気というか覇気というかは、本当に素晴らしい。

 わざわざ南極大陸に出かけて、本物の潜水艦を使ってロケしたことについては、撮影当時から物議を醸していたようだが、あれほどの雄大な絵は、特撮とかCGでは絶対に出せないでしょう。あれは、やって正解だったと思う。むしろ、あの頃の日本にしか出来なかったのだから、やっておいて良かった。

 映画自体も、よく出来ていると思う。小松左京の長大な原作小説の理屈っぽいところを上手にカットして、良質のエンターテインメントに仕立て直しているのだから。

 俳優陣が無駄に豪華なのだが、これは全世界を舞台にした群像劇なのだから、有名俳優の強烈な個性で画面を次々に浚っていく演出技法は完全に正しい。それにしても、緒形拳や森田健作や千葉真一クラスが、ほとんどセリフもないようなチョイ役なんだもんなあ。この贅沢さは、今ではとても考えられない。

 そして、この映画で描かれたウイルスのパンデミックや核戦争の脅威は、冷戦時代特有の緊迫感に満ちていて興味深いのであるが、実は21世紀の現在でも本質的にまったく改まっていない。そう考えると、なかなか複雑な気分になる。

 「復活の日」は、一般にあまり高い評価を得ていない映画であるが、私は大好きである。

 特に、陳腐なCGや安っぽい大根俳優で満ち溢れた昨今の日本映画界の惨状を見るにつけ、ますますこの映画が好きになる。

 

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