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映画評論

映画評論PART11

エンスラポイド  Anthropoid

 

制作:イギリス、チェコ、フランス

制作年度:2016

監督:ショーン・エリス

 

(あらすじ)

 『暁の7人』と全く同じなので(笑)、そちらを参照のこと。

 

(解説)

  またもや、チェコ大使館での無料上映会で鑑賞した映画。

 『暁の7人』のリメイク、というか全く同じテーマを扱った作品。冒頭からラストまで、まったく同じ時間軸で物語が語られる。いくつかのシーンは明らかに『暁の7人』から拝借している。こういうのを、オマージュというのかパクりというのかは良く分からないが。

 だけど、『暁の7人』とは違った面白さがあり、見終わった後の印象は完全に異なる。なぜなのか?そこを、じっくり比較検証すると面白い。

 『暁の7人』は、昔のハリウッド映画ということで、史実重視とはいえ娯楽に偏っているところがある。起承転結などを重視するあまり、物語の内容も分かりやすいし、人間の描き方が優しくて牧歌的である。映画としては非常に面白いのだが、そうなると史実に反する部分も多くなるだろう。

 その点で、『エンスラポイド』は全く逆だ。冷酷な割り切り方で、厳然たる史実重視に舵を切っている。ハイドリヒは単なる暗殺対象でしかないし、密告者カレル・チューダも、家族愛ではなく、私利私欲と恐怖心だけで仲間を裏切るのだ。ナチスドイツの在り方も、この映画の方が遥かに恐ろしい。そういった描き方の相違の底流には、アメリカ文化とヨーロッパ文化の違いが見え隠れする。

 もちろん、どちらの描き方が良いかは、完全に観客次第だろう。

 歴史物の映画は、こうやって同じテーマの作品を比較することで、より高次な考察を得ることが出来る。そこが、歴史映画ならではの面白さである。

 なお、『エンスラポイド』は、2017年の夏に日本でも公開されたのだが、邦題は『ハイドリヒを撃て!ナチスの野獣暗殺作戦』だった。なんだかなあ。

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