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映画評論

映画評論PART12

アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場  Tuntematon sotilas

制作:フィンランド

制作年度:2017年

監督:アク・ロウヒミエス

 

(あらすじ)

 1941年、ナチスドイツのソ連侵攻とともに、フィンランド軍も行動を開始した。「継続戦争」の勃発である。前年の「冬戦争」で、ソ連に奪われた故地を奪還するのだ。

 順調に進む戦局の中、フィンランド軍は故地を取り戻した時点で塹壕を構えて持久戦に入る。次第に弛緩する士気。

 しかし、やがて戦局は逆転し、圧倒的物量のソ連軍がフィンランドに襲い掛かる。和平交渉までの時間稼ぎをするために、兵士たちは消耗品のように戦場に斃れて行くのだった。

 

(解説)

 新宿武蔵野館で観た。

 フィンランド映画には、「冬戦争」を描いた『ウィンター・ウォー/厳寒の攻防戦』という、似たような内容の戦争ものがあるのでややこしい。

 歴史的状況を整理すると、1939年に「独ソ不可侵条約」を結んで調子に乗ったソ連が、第二次大戦勃発のどさくさ紛れに、1940年にフィンランドに侵略戦争を仕掛けて領土を奪い取ったのが「冬戦争」。その復旧に燃えるフィンランドが、1941年にナチスドイツと共にソ連に攻め込んだのが「継続戦争」である。結局、ナチスの敗北と同時にフィンランドも敗戦を迎え、失地回復は成らなかった。しかし、マンネルヘイム元帥率いるフィンランド政府は、かなり巧妙な外交交渉を行い、独立国としての体面を守り抜いたのは大成功である。しかし、その過程で、多くの無名兵士が死んでいった。『アンノウン・ソルジャー』は、それをテーマにした映画である。

 この映画の監督は、おそらくサム・ペキンパー監督『戦争のはらわた』の大ファンなのだろう。随所に、オマージュが感じられた。っていうか、主人公ロッカが、「上司に反抗的でマイペースな初老兵士」という設定自体が、シュタイナー曹長のオマージュだ。ただし、ストランスキー大尉のような個性的な悪役が登場しないため、せっかくの『戦争のはらわた』フォーマットが中途半端に終わっているのが残念である。そういうわけで、ストーリーは全体に平板で、エストニア映画『1944』のようなオリジナリティは感じなかった。

 ちなみに、主演俳優の名前は「エーロ・アホ」である。フィンランド人の名前って、「セコイネン」とか「インキネン」とか、不意打ちを食らうと本人の前で失笑してしまう局面がありそうだから、要注意である(笑)。

 それにしても、ヒトラーとナチスは、全世界の映画産業のために大貢献しているよね。アカデミー特別賞とか、彼らにあげたらよいのにね(この文章、前回の評論のコピペ(笑))。

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