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映画評論

映画評論PART12

パラサイト 半地下の家族  기생충

制作:韓国

制作年度:2019年

監督:ポン・ジュノ

 

(あらすじ)

 ソウルの半地下貧民窟に住むキム一家は、4人家族全員が、ピザ屋の紙箱作りの内職で辛うじて食いつなぐ体たらく。

 そんなある日、長男ギウ(チェ・ウシク)がIT長者パク家の家庭教師の仕事を手に入れた。やがて、お人よしのパク夫妻に付け込んだキム家は、長女のギジョン、父のギテク、母のチュンスクを、素性を隠した状態で、それぞれセラピスト、運転手、家政婦と偽って次々にパク家に送り込み、一家全員で寄生虫になるのだった。

 経済的利益を享受して有頂天になるキム家。しかし、嵐の夜に恐ろしい事実が発覚する。パク家の地下には、寄生虫の先住者が潜んでいたのだった。

 

(解説)

 韓国初の、いやアジア初のアカデミー賞総なめ作品。

 私は、韓国映画のレベルの高さを昔から重々承知していたので、アジア初のアカデミー賞は必ず韓国が獲得するだろうと予感していたので、心からこの成果を喜んだものである。

 新宿TOHOに、それぞれ別の友人と一緒に2回見に行ったのだが、見るたびに新たな発見と視野が開けて驚いた。もう一度鑑賞したら、また新たな気づきがあるかもしれない。それぐらいに、行間や奥行きが深い映画なのである。

 そもそも、何をテーマにした映画なのかについても、様々な解釈の余地がある。いちおう、「格差社会を非難する社会派ドラマ」だと言われているが、家族愛の物語でもあるし、ブラックコメディでもあるし、ミステリーやサスペンスでもある。ほとんど、類型的な分類が不可能なストーリー構成なのだ。

 また、韓国社会の儒教汚染を批判する要素もある。この映画には3つの家族が登場するのだが、それぞれが自分の家族の幸せしか考えない。そして、常に家族単位で物事を考えて行動する。それが潤いを生むこともあるが、それがラストの悲劇をもたらす。

 そして、格差社会の本質を「匂い」に収れんさせたジュノ監督のセンスは天才的である。どんなに偽装しても、どんなに物質的ハンデを克服しても、「匂い」だけは決して変えられない。それに気づいたギテク(ソン・ガンホ)は、とうとう「匂い」にキレるのだ。

 映画のラストについても、様々な解釈が可能だ。主人公ギウは、劇中でとことん否定されたはずの「計画」と「金持ち」に固執して、家族の回復を目指す。これは希望の物語なのか、それとも諦めの物語なのか?

 あと10回くらい鑑賞すれば、答えが見えてくるかもしれない。

 『ジョーカー』や『万引き家族』と比較されることもあるが、あんな薄っぺらいものと同列に論ずるべきではない。『パラサイト』は、世界の映画界に革命を起こしたのだと断じてよかろう。

 韓国映画の未来に、乾杯!

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