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映画評論

映画評論 PART5

ワルキューレ Valkyrie

制作;アメリカ

制作年度;2008年

監督;ブライアン・シンガー

 

 1944年夏の、ドイツ国防軍将校によるヒトラー暗殺計画の全貌を描いた映画。

 トム・クルーズ主演なので、いろいろと危ぶんでいたのですが、蓋を開けてみたら、期待以上の良い映画でした。むしろ、トムくん主演の最高傑作映画だと思います。

 監督はブライアン・シンガーですが、私は昔からこの人のテイストが大好きなのです。なんというか、代表作の「X-MEN」にしても、「真面目でストイック」な作風ですよね。だから、以前から「シンガー監督は、歴史ものを撮れば良いのになあ」と思い続けていたのですが、やっぱり良い映画を撮ったじゃん♪

 この私さえ唸ってしまうくらいに「史実に忠実」です。人物のセリフまで、ほとんど史実のままです!おまけに、コスチュームをはじめ、ギミックやプロップスも凄い!「なんで、ここまで拘るのか?」というくらいに、史実どおりです。Ju52機も、本物を飛ばして撮っている!(これだけでも、ナチスマニアは必見です!)。とても、ハリウッド映画(MGM)とは思えない真面目な出来栄えでした!

 これはどうやら、スタッフとキャストに、ドイツ人が多く参加した成果なのだと思います。俳優なんかも、「ヒトラー最期の十二日間」に出演していた人も多くて、つまりナチスもの映画のノウハウを豊富に持っている人たちが、監督やトムくんを支えてあげたのでしょうね!

 で、歴史にあまりにも忠実なので、当然ながらストーリーは地味で淡々としているのですが(色気もない!ひたすらナチスの制服を着たオジサンばかりが出て来る!)、さまざまな工夫を脚本に入れて、背景をそれとなく補強しサスペンスを入れているので、「ゲバラ2部作」みたいに話が分からなくなることはないし、単調にもなっていません。

 下手に架空の話を入れたりして技巧をこらすよりも、「歴史どおり」のほうが説得力が出て、真実の重みが増して感動を呼べるのです!  さすがは、シンガー監督! 惚れ直しましたぞ!この勢いで、じゃんじゃんと史実に忠実な、真面目でストイックな歴史映画を撮りまくってほしいものです!

 唯一、文句をつけるとすれば、劇中の使用言語がドイツ語では無くて英語だった点。でもこれは、監督も主演俳優(トムくん)もドイツ語が出来ないのだから仕方なかったでしょうね。下手に現地語にこだわって、演出がグチャグチャになった「 チェ2部作」の悪例もありますし。

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