歴史ぱびりよん > 映画評論 > 映画評論 PART9 > オルカ Orca
制作:アメリカ、イタリア
制作年度:1977年
監督:マイケル・アンダーソン
(あらすじ)
漁師のノーラン(リチャード・ハリス)は、水族館に売るためにシャチを捕獲しようとするが、誤って懐胎中のメスを殺してしまう。
妻子を殺されたシャチは、ノーランを仇と付け狙い、彼の周辺で次々に凶行を起こしていく。やがて人間たちからも疎まれたノーランは、シャチに決闘を挑むべく、極寒の海へと乗り出して行くのだった。
(解説)
「オルカ」は、実をいうと、私が生まれて初めて映画館で観た映画である。なぜか亡父に連れられて、今は亡き「新宿ピカデリー」で観た。父と映画に行ったのは、これが最初で最後の経験だったので、なかなか感慨深いのである。
当時流行した「ジョーズ」のパクり映画と見なされて、世間の評価はさんざんだったようだが、個人的には非常に面白かったし、心に深い余韻が残る映画だった。
物語は、「あらすじ」を見て貰えば分かる通りに荒唐無稽だし、劇中でシャチの眼がアップになって涙(?)を流すような描写も、ちょっとやり過ぎな感じはある。しかし、映画というのは本来、「観客に嘘をついて楽しませる」ものなのだから、荒唐無稽な内容であっても、それが首尾一貫して深いテーマ性を持っていれば良いのだ。
美しい夕焼けを背景に波間に踊るシャチたち。その情景を彩るエンニオ・モリコーネの美しい音楽。自然と人間の関係についての深い考察。
「オルカ」を、「ジョーズ」なんかより100倍も品質が高い映画だと思っているのは、私だけだろうか?