歴史ぱびりよん > 映画評論 > 映画評論 PART9 > 清須会議
制作:日本
制作年度:2013年
監督:三谷幸喜
テレビで観た。
「中途半端」を、ありとあらゆる意味で体現した映画。そのため、まったく面白くなかった。ここまで詰まらないと、逆に凄みを感じる。「まさか、わざとやっているのか?」と勘繰ってしまった。
そもそも、製作者が何をやりたかったのか、ぜんぜん分からないのだ。史劇なのかコメディなのか政治ドラマなのか?あるいは三谷監督が、お気に入りの俳優に特殊メイクやコスプレをさせたかっただけなのか?もしもそうなら、あまりにも観客をバカにしている。
歴史の予備知識が無い人は、話の内容がまったく分からないだろう。コメディを期待した人は、まったく笑えないので拍子抜けするだろう。真面目な史劇を期待した人は、あまりに話のノリが軽すぎるので激怒するだろう。
どうせやるなら、完全に史実を無視して抱腹絶倒のスラップスティック・コメディにしてしまえば良かったのに。三谷幸喜は、どうせ人間が軽すぎて真面目な物語を作れない人なのだから、ハチャメチャな話にしてしまうのが正解だったのだ。
彼がそんなことも分からなくなったのは、製作委員会システムの大人の事情に流されちゃったのだろうか?
この映画は、スラップスティック・コメディにしたら、絶対に楽しめる内容だったと思うから、中途半端な真面目さが残念である。「プリンセス・トヨトミ」の項で指摘した最近の日本映画の問題点(ストーリーと演出の禁治産的な支離滅裂さ)が、ますます酷い形で顕在化したわけだ。
やれやれ。