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世界旅行記

イタリア旅行記

8月10日(土曜日)  旅行の発端。ローマに到着。

発 端  


  今回のイタリア旅行は、バンちゃんの提案で実現した。

 会社の同僚の田中くん(バンちゃん)は、1年前にイギリス旅行を共にした良き友人である。そんな彼は、次回の旅行は自分が全て手配すると言ってくれたので、俺はのんびりと任せきりにしていた。すると、彼が選んだ旅行先はイタリアだったのだ。

  彼は、どうやら前回の旅行について、2つの点で不満があったらしい。①夏の旅行だというのに、海で泳ぐことができなかった。②添乗員がいなかったため、いろいろと不便を感じた。

  ①について言うなら、俺は海水浴が嫌いではない。だから、海を持つ外国で水泳を堪能したいという彼の希望は俺の希望でもあった。

 しかし、②については承服しかねた。俺は、他人によって時間を管理されることが嫌いなのだ。日常生活では、仕事の関係で時間に縛られどおしの人生だ。特に、公認会計士の仕事というのは、クライアントに直接お邪魔したり出張機会が多かったりするので、どうしても他者によって時間をガチガチに縛られまくりだ。だからこそ俺は、1年に1度の海外旅行くらい、何から何まで自分で時間を管理したいのだ。そういう意味で、添乗員付きのガイドツアーは、俺の好みではなかった。

  そこで、バンちゃんと妥協点を模索した。その結果、いかにも日本的な折衷的解決であるが、「自由行動時間が多いガイドツアー」に申し込むことになったのである。 しかし、近畿日本ツーリストによる8泊10日のイタリアツアーは、時期が8月上旬ということもあって、かなり高くついた。なにしろ50万円だもんなあ。今ではとても考えられない。これはおそらく、俺の生涯で最も高価な旅行となるであろう。

 まあ、当時はバブルの最末期で、それなりに給料をもらっていたから、50万円もそれほど苦ではなかったのだが。

  その分、旅程はかなり豪華であった。 初日は、ローマに降りてそのまま泊まる。2日目と3日目は、ローマとバチカン市国を観光(ローマ泊)。4日目はアッシジとシエナを経由してフィレンチェに泊まる。5日目は終日フィレンチェ観光。6日目はピサとボローニャを経由してヴェネチア泊。7日目は終日ヴェネチア観光。8日目はミラノに移動して観光して泊まる。9日目はミラノから帰るだけ。

  これだけ豪華なら、50万円でも仕方ないのかな。

 俺は、前回以上に準備行動に時間を費やした。社内英会話教室で英語力を強化するとともに、イタリア語の書籍を買って現地語の勉強をしたのである。

  ただ、前回と違って「ガイド付き団体行動」だから、安全管理などにはそれほど気を遣わなかった。

  こうして、出発の日を迎える。  

 


8月10日(土曜日)ローマ到着


 成田空港で、参加メンバーと待ち合わせをした。

 俺は、京成スカイライナーで日暮里から登場し、バンちゃんは、いつものようにお父さんの車で成田に到着した次第。

  添乗員は中年になりかけの小太りのオバサンだ。西川さんという名の、おおらかで面倒見の良い「肝っ玉母さん」タイプである。今回の旅行の最大の成功要因は、この人にあったと言っても過言ではない。

 その他のメンバーは全部で10人。顔ぶれを見回すと、「中年夫婦」ないし「一人参加のオジサンやオバサン」に大別できる。・・・同年輩の若者は皆無だ。まあ、高い旅行だからねえ。「出会い」を期待する方が無茶というものだ。

  アリタリア航空の飛行機は、時間通りに出発。緑と白で彩色された美しい機体だったが、給仕してくれるのがスチュアード。つまり「毛むくじゃらの白人のオジサン」なのである。思わず「ふざけんな」と言いたくなったりして。

  窓外の景色は、1年前と同じだ。ロシアの緑の大地は、未来永劫、こんな感じなのだろう。

  この飛行機は、中途半端なことに、ミラノに給油のために着陸するのである。ツアー参加者たちは、暇つぶしにターミナルビルに遊びに行ったのだが、俺とバンちゃんは機体の周囲をウロウロした。あんまりウロウロしすぎて、給油係のイタ公に怒られてしまったのだが(笑)。

  ミラノから最初の目的地ローマまでは、わずかの距離だ。この距離を埋められる容量が飛行機の燃料タンクにないのが不思議だが、まあ、そんなものなのだろう。

  給油を終えて飛び立った飛行機は、ようやくローマ空港(レオナルド・ダ・ビンチ空港)に到着した。成田から12時間以上の長旅は、ようやく終わりを告げたのだ。

 ここは小奇麗な空港だったが、印象的なのは完全武装の兵隊が多い点である。やはり、イギリスに比べると治安は悪そうだ。

  気温は高めで、少し湿気がある。日本の気候と似ているように感じたが、日本の蒸し暑さに比べたら随分とマシだ。

  人数確認を終えてバスに乗り込んだ一行は、ローマ北郊のホテルに到着。時刻は夕方5時だから、すごく中途半端。

 俺とバンちゃんは、今回は別の部屋に一人ずつ泊まることにしていたので、時間を決めてロビーで待ち合わせをした。それから、ホテル近くのカフェに食事に出かけた。 時差ぼけの影響か、あまり腹は減っていなかったのだが、俺たちはとりあえずワインとハンバーガーを注文することにした。

  俺が、覚えたてのイタリア語で「ヴィーノ ペルファヴォーレ(ワインちょうだい)」と言ったら、ビールが出てきた。ウェーターが、ヴィーノとビールを聞き間違えたというわけだ。イタリア人は、「日本人=英語しかできない」という先入観を持っているらしい。っていうか、俺の発音が悪いせいかいな?まあ、ビールでも別に良いのだが。

  ハンバーガーは、本格的な調理法の奴で、ナイフとフォークで食べる形態だった。ハンガーグ肉は、マ○ドナルド製と違って、ちゃんと牛肉の味がしたので、このハンバーガーはすこぶる美味だった。 これ以降、存分に味わうことになるのだが、イタリアの料理はとにかく美味い。その最初の洗礼を受けることが出来たのだから、ワインの代わりにビールが出たとしてもノープロブレムだ。

 バンちゃんと別れた後、ホテルの部屋に入ってテレビを点けた。 意外なことに、昔の日本アニメがあちこちのチャンネルでやっている。「ハクション大魔王」とか「エスパー麻美」とか「北斗の拳」とか。感心したのは、吹き替えのイタリア人の声優さんが、オリジナルとそっくりの声を出していたことである。きっと、オリジナルに敬意を表して似た声質の声優を使ってくれているのだ。ただし、登場人物の名前はイタリア風に変えてあった。たとえば、「エスパー麻美」の主人公は、麻美ではなくてマリアと呼ばれていた。

  別のチャンネルを回すと、「風俗案内チャンネル」だった。驚いたことに、裸のお姉さんが出るCMと、マッチョのお兄さんが出てくるCMが、交互に放送されているのだ。さすがはヨーロッパのホモ文化は、日本の追随を許していないな。

 テレビに飽きたので、とっとと寝た。明日は、朝9時から団体行動開始だ。

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