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世界旅行記

チェコ、オーストリア旅行記

9月12日日曜  プラター、ドナウ河畔散策

plater

プラター

 

 いよいよ最終日だ。今日の大目標は、ドナウ川で水鳥と遊ぶことであった。その前に、プラター遊園地で、かの大観覧車を見ておかねばなるまい。

 そこで、マズい飯をかっこんで、とっととチェックアウトを済ませると、地下鉄U1でドナウ運河の東岸に向かった。出掛けに、また1万円を両替した。またもや財布が空っぽだったから。・・・ううむ、オーストリアの物価は東京と同じだ。

 プラターは、ドナウ川とドナウ運河に挟まれた地帯にある大きな公園である。この一角にあるのは、19世紀末に開設された由緒正しい遊園地である。この中央に聳え立つ大観覧車は、映画「第三の男」の名場面で有名だ。親父がこの映画の大ファンなので、ウイーンと言うと二言目には「観覧車」のことを言うので、俺も影響されて見に行く気になったわけ。

  U1プラターシュテルンは、国鉄の北駅への乗換駅なので、なかなか大きな駅だ。構造的にも雰囲気的にも、日本のJRの駅に似ていると思う。ここで気付いたのだが、日本の国鉄の技術者は、ウイーンの鉄道を参考にして、今の駅を建てたのではないだろうか。そうとでも考えなければ、これほどまでの類似は考えられない。その辺の経緯を調べてみると、楽しいかも分からない。

 さて、駅の南口から出てみると、いきなり大観覧車が目に付いた。これなら、迷子の恐れも無いわい。朝7時半なので、公園内には誰もいないし、当然ながら遊園地の乗り物も動いていない。まあ、一人で遊園地で遊んでも虚しいだけだしね。

 観覧車やメリーゴーラウンドのそばを抜けて、公園内を散歩する。観覧車は、さすがに大きいが、近くで見ると、別にどうってことはない。公園内には、ごく稀にジョギングしている人がいるけど、閑散としていて寂しい。そこで、とっとと切り上げてドナウ川に遊びに行くことにした。

  U1で、さらに東に向かう。地下鉄だから川の下を潜るのかと思ったら、川辺で地上に出て、大きな陸橋の上を走るのだ。ドナウインゼルという駅が、川の中洲にあるので、ここで降りて見た。中洲で水鳥と遊ぶという、プラハでの快楽を再現しようと考えたのである。ところが、どっこい。この駅からは中洲に降りられないのである。陸橋を伝って川の東岸か西岸まで歩かないと、川辺には出られない。だったら、どうして中洲に駅を造るのさ。どうも、よく分からないなあ。

 仕方ないので、国連都市のある東岸に降り、雄大なドナウの流れに沿って、南の方向に歩く。コンクリートの堤防に囲まれた川は、なんとも無骨な雰囲気だ。それでも、川面には可愛い子ちゃんたちが群れている。今行くからね、待っててね。ところが、道が無いので川辺には降りられないのである。遠くを見渡しても、川に降りられる場所は無さそうだ。くそお、失恋したような気分だぜ。困ったことに、周囲にはベンチすらない。仕方無しに、草原に腰を下ろして景色を眺めて過ごす。

 9時になったので、重い腰を上げて市内を目指す。帰りの飛行機は午後1時発だから、空港へ戻る方向へ進むのが賢明だろう。ドナウタワーや国連都市はパスだ。

 どうしてもドナウに想いが残ったので、ドナウインゼルから1つ西側のフォルガルテンシュトラッセで降りて、ドナウ西岸を散歩する。川面を北に目を移すと、こちらは商船や遊覧船で一杯だ。やっぱり、全体的にゴツゴツして人工的で面白くない。こんな川で、遊覧船なんか乗りたくないよな。まあ、時計を気にしながらだったから、乗りたくても無理だったのだが。

 シャトルバスの発着所のある中央駅に出る。ところが、ここのバスターミナルは何箇所もあって、どれが空港行きのバスの発着所か分からない。そこで、国鉄で空港入りすることにした。これで、ウイーンの交通機関は、タクシー以外は全て試したわけだ。次に来るときは、IC特急で地方都市に行けるような日程を組もうかな。

 ところで、ウイーンの鉄道で大いに感心したことは、身体障害者用の設備が極めて充実していた点である。例えば、地下鉄の駅は、全て車椅子用のエレベーターを完備しているし、車両にも必ず車椅子用のブースがあるのだ。こういうのは、日本も見習うべきだろう。

 11時には空港に着いた。ちょっと早かったかな?搭乗手続きを済ませてから、本屋や土産屋を冷やかして時間を潰す。俺は、訪れた国の本屋で時間を潰すのが好きだ。ウイーン市街でも、暇を見ては古本屋を物色したりした。ただ、荷物が重いので何も買わなかったけど。

 腹が減ったので、空港内のビュッフェでサンドイッチを買って、立ちながら食った。味はまあまあ。途中で、完全装備の兵隊が2人入ってきて、すぐ隣で食い出したのが興ざめだったが。俺は、兵隊が嫌いなのだよ。

 土産も買い終わったし、時間になったので、余ったシリング(約六千円)を日本円に替えてから出国ブースに入った。待合室に向かう途中で、何となく雑誌売り場に寄ったら、なんと、無修正ウラ本の大安売りをやっていた。10冊セットで100シリング(千円くらい)は安い。オーストリアに来て、初めて安いものを見たぞ。これは、買わねばならぬ。ところが、財布の中には、両替し切れなかった小銭が60シリングしかない。カードでエロ本買う気にはならねえしな。涙を呑んで諦めた。なんか、とっても損した気分だ。それにしても、どうして出国ブース内でウラ本売ってるんだ?訳がわかんねえ。

 待合室に行くと、やっぱり日本人が多い。飛行機の中では、ゲルマン美女が隣に座ることを期待していたのだが(幼女ではないぞ)、太ったゲルマン爺さんだったのでがっかりだ。無視して、ひたすら本を読むか(ハーラン・エリソンの「世界の中心でアイを叫んだ獣」)、寝るかしていた。でも、機内上映の映画「あなたが見えなくても」(At     The First Sight)は良かったなあ。初めて、バル・キルマーが好きになったぞ。ミラ・ソルヴィーノも綺麗だしね。

 やがて日本の領空に入ると、窓から見える富士山が朝日を浴びて美しく輝いていた(俺は、行きも帰りも窓側の席にいたのだよ)。ああ、やっぱり素晴らしいなあ、と思う。こんな美しい山は二つとないぞ。そこで、隣で寝ているゲルマン爺を叩き起こす。英語で「あれを見ろ!あれが日本の心だ」と怒鳴ると、びっくりしながらも喜んでくれた(本当か?)。それがきっかけで話が弾んだのが、爺さんは定年退職したばかりのドイツ人で、暇を生かして旅行をしまくる予定なのだと言う。そこで、爺さんに日本旅行のプログラムを見せて貰ったのだが、なかなか良く出来ている。最初の1日で東京を回り、2日目から箱根に移動、3日目に松本に入り、その後は金沢から大阪に出て、関空から帰るという日程であった。これなら、世界に誇れる日本の紅葉を堪能できるはずだ。海外の旅行会社も、良くリサーチしているなあ、と感心した。

 成田に到着したのは、時差の関係で月曜日の朝だった。マップツアーとのトラブル(?)も、その後、無事に解決し、俺の中欧旅行は、大成功のうちに幕を閉じたのであった。

 旅行中、最後まで日本語を使わなかった。つまり、海外から日本語で電話をかけてあげる人がいないというわけ。これはちょっと淋しいかもね。今度は、誰かいい人を見つけて一緒にいけるといいのだが。

 でも、一人旅の良さもある。考えてみたら、一人旅は今回が生まれて初めてだったのだ。行動の全てを自分ひとりで決定できるから、気楽で良いものだということが判明した。他人と一緒だったら、そもそもスメタナの故地めぐりなんて出来なかっただろうし。

 オーストリアはともかく、チェコは想像以上に素晴らしい国だと言うことが分かった。小学生のころに抱いた夢は、破れるどころか、ますます美しく広がったのだ。

 次は、チェコ語を喋れるようになってから行くべし!

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