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世界旅行記

ポーランド旅行記

9月1日(月曜) 出発


  久しぶりに、早朝からの出発である。

 新居を朝7時に出て、市ヶ谷駅からJRに乗り、東京駅構内の食堂で和定食を食べてから、8時発の成田エクスプレスに乗った。9時過ぎに成田空港に到着したので、第一ターミナルの阪急交通社の個人旅行特設ブースに行ってチケット類を受け取ると、しばらく周囲を散歩してから出国審査を受けた。

 この時期にしては、旅行者が異常に少ない。国内の不景気に燃料代の高騰が追い討ちをかけ、旅行や出張が減っているのだろう。

 実際、旅行代金は値上がりしている。俺はいつものように、ホテルと飛行機だけ旅行会社(今回は阪急交通社)に取ってもらい、あとは現地で自由行動となるプランを申し込んだのだが、例年に比べて10万円以上高くついた。その主な理由は、やはり航空燃料代の値上がりであった。なお、阪急交通社は非常に対応が良かったので、機会があればまた使わせてもらおうと思う。

 今回の飛行機は、これで3度目のKLM(オランダ航空)で、これまた3度目のアムステルダム経由である。11:30出発の青い機体は、リニューアルされた新型機だった。シートは座り心地が良いし、テレビモニターも各自の座席の前に取り付けられて自由に見られる形態だった。KLMの機内食は相変わらず不味かったわけだが、これだけが要改善だろう。

  KLM

 寝たり、MDプレイヤーで音楽(自作の「R.E.M」ベスト)を聴いたり、機内映画を観たりしてアムスまでの11時間を乗り切った。

 機内映画は、「インディ・ジョーンズ4」と「スピードレーサー」を見た。

 「インディ」は、予想以上の駄作だった。スピルバーグって、年々、劣化して行くね。相変わらず時代考証はグチャグチャだし、人種差別的だし、人間描写は薄っぺらであった。結局、何を語りたかったのか、さっぱり分からないし。

 むしろ、「スピードレーサー」のほうが面白かった。CG使いまくりの幼稚な映像にはウンザリしたが、ストーリーが原作(「マッハGoGoGo!」)を非常にリスペクトした内容となっていて、しかも家族愛や反金満主義といったメインテーマがしっかりとブレずに描かれていた。俺は昔、原作アニメの大ファンだったから、これは嬉しい誤算だった(超絶的駄作だと予想していたので)。

 そうこうするうち、現地時間で14:00にスキポール空港に到着した。6年ぶりなので懐かしい。あのときは、加賀谷くんと2人であちこち探索したものだ。

 相変わらず、楽しい雰囲気の居心地良い空港だ。今回は一人でブラブラし、本屋でフィデル・カストロのインタビュー形式の伝記本(英語版だが)を買った。つまり、「日本人がオランダで、ポーランドに向かう途中、英語で書かれたキューバの本を買った」というわけだ。ある意味、笑えるな。

 この空港で前回と大きく変わった点は、EU圏内へのトランジットは、入国審査をここの構内で行う形式になったことである。長い行列の後、オランダ人の係官は何も聞かずに俺のパスポートに目くら版を押した。この様子を見るに、オランダでEUへの入国を集中管理する方式は、かえって無責任を生んでいるのではないかと不安になる。

 その後、時間もあり小腹もすいたので、構内のバーガーキングに入って腹ごしらえをしたところ、カード払いのユーロ換算だったので、ワッパー(ハンバーガーセット)が1,050円もした。日本だと600円程度で済むはずなので、やはりユーロは驚異的に値上がりしているようだな。

 それ以外は、何もかも想定の範囲内で予定通りに進む。海外旅行に限らず、仕事も遊びも最近は何もかも想定の範囲内に収まって刺激がない。歳を取ったということだろうか?経験が増して知恵が付くということは、すなわち人生を退屈に変えることと同義かもしれぬ。

 やがて18:00になったので、ワルシャワ行きのKLMの小型機に乗り込む。周囲の客はポーランド人が多いのだが(言葉で分かる)、若い女性がみんな美人なのには驚いた。ポーランドが美人国だとの噂は聞いていたが、これは確かに凄いや。久しぶりに「想定外」事項の発生だ。だから旅行は面白い。

 たまたま、隣の席にポーランド人の美人女学生が座ったので、英語でいろいろな会話をした。

 彼女は、研究課題がカナダのネイティブアメリカン(インディアン)の建築文化なので、数週間カナダのヴァンクーバーに留学に行って、今がその帰りだという。日本のことはあまり知らなかったけど、俳句に興味があるというから、持参してきた日本語の本(アンナ・カレーニナの光文社文庫版だが)を見せて日本の文字について教えてあげた。そのお返しというわけではないけど、ポーランドの美味い食べ物や酒について、いろいろと教えてもらったのである。

 彼女いわく「ポーランドのコーヒーは、すごく高くて不味いのよ。イタリアのコーヒーはあんなに安くて美味しいのに、この差は何なの!?」

 ふむ。現地ではコーヒーは飲まないようにしようか。

 彼女いわく「外国人が喜ぶポーランド料理は、何と言ってもパンケーキ(お好み焼き)よ。これは、誰にも文句を言われたことがないわ」

 ふむ。お好み焼き以外はダメってことか。でも、お好み焼きが自慢って・・・

 彼女いわく「名物のお酒はウォトカだけど、そのまま飲んでも不味いから、あたしはアップルジュースで割ったのが好き」

 ふむ。ウォトカは割らなければ不味いのか。

 ・・・って、ネガティブな情報ばかりじゃないかよっ!(笑)。

 でも、まあ、こんなものかもしれぬ。俺だって、外人に日本のことを説明するときは、こんな感じだろうし。そもそも、日本なんかに遊びに来る外人の気が知れない。

 案の定、女学生もしきりに「何しにポーランドなんかに行くの?」と聞いてきた。現地人にとって、故郷はあまり観光に魅力的な国ではないらしい。つまり、日本人にとっての日本みたいなものか。いきなり、行く前からモチベーションが下がるなあ(泣)。

 いちおう、「ポーランドの歴史探求」とか「アウシュビッツ見学」とか、訪問目的を語ってみたけど、彼女にはピンと来なかったようだ。自国の歴史に興味がないのか、あるいは「お前みたいな外人に、ポーランド人の辛い気持ちが分かるのか?」という気持ちがあるのかもしれない。

 そんな彼女が観光で行ってみたい国は、クロアチアらしい。あそこは最近、観光産業が整備されて、すごく魅力が増したとのことだ。

 あくまでも偶然だが、ここに来る2日前、英語学校の仲間たちとともに京橋のクロアチア料理屋に行った。仲間の何人かが「クロアチアに行きたい」とか言っていたので、いずれ彼らと団体旅行を企画するのも良いかもね。

 ちなみに昨晩は、大学時代の友人たち(「モンゴル旅行記」中で言及される岳夫くん他1名)と、新宿のオイスターバーで生牡蠣を食いまくった。胃腸が丈夫とはいえ、我ながら良い度胸だぜ(笑)。

 さて、美人女学生とは空港で別れたのだが(ちょっと、もったいなかったかな?)、入国審査もなく(オランダで終了)、荷物は機内持ち込みだったし、両替所も空いていたので(1万円を170ズロチーに替えた)、あっという間にオケンチェ空港の到着ロビーに出た。それから、空港の売店でミネラルウォーター(ガス入りだった)とバスのチケット(一回券。2.8ズロチー)を買ってから、空港前のバス停に出て、市内行きの175番バスを待った。

 なお、ポーランドはEU圏なのだが、現地で流通している通貨は、従来通りのズロチーである。これは、相場的にもユーロより有利なので、非常にラッキーである。っていうか、そうじゃなかったらポーランド旅行に来なかったかもしれない。

 それにしても、偶然とはいえ、よりによって9月1日(=ナチスドイツ軍の侵攻によって第二次大戦が始まった日)にポーランドに侵入するとはなあ。ヒトラー総統も、草葉の陰で喜んでいるに違いない(笑)。

 10時だから仕方ないとはいえ、周囲はなんだか暗い。おまけに、饐えたような嫌な臭いがする。思い出すのは、1999年当時のプラハの雰囲気だ。まさかポーランドは、あのころのチェコ程度の発展段階の国なのか?とっくにEUなのに!

 心配しているうちに、がら空きの175番バスが来たのでこれに乗った。バスは真っ暗な夜道を順調に走り、30分ほどでワルシャワ市の中心に出た。国鉄中央駅付近で降りて、徒歩で宿泊先の「ノボテル・ツェントルム」を目指す。

 ここは首都ワルシャワの中心街だというのに、周囲は暗い。中央駅の向こう側に「世界文化宮殿」が屹立しているのだが、ここがライトアップされていたのが唯一の救いである。これが無かったら、真っ暗だったかもしれぬ。それにしても、スターリンに無理やり造らされたような「世界文化宮殿」が、中心街(ツェントルム)のランドマークとは、ワルシャワってなんだか哀しい街だな。

 

 bunkapalece

 

 などと考えているうちにホテルに着いた。ひえー、高級ホテルだ。

 今度の旅行では、ホテルの選定を完全に旅行会社のお任せにしていたのだが、その結果、ワルシャワ、クラコフ両都市ともに高級ホテルが宿泊先になったのである。阪急交通社が旅行代金を高く取りすぎたというのなら、安いホテルを予約して、差額は返金して欲しかったなあ。俺の場合、ホテルではどうせ寝るだけなんだし。もっとも、旅行者が激減している昨今なので、高級ホテルが空き室率を減らすために割引をかけた結果かもしれない。

 などと思いつつ、フロントでチェックインを済ませてから、エレベーターで11階まで上がった。ここのエレベーターは、宿泊客がリフトの中で部屋カードを認識させないと起動しないシステムになっていた。ホテルマンはそのことを教えてくれなかったので、乗り合わせたお客さんに教えてもらったのだが、高級ホテルは何かと面倒くさい。

 ともあれ、無事に部屋に入ることができた。うわー、ツインベッドだしテレビは大きいし、風呂もちゃんとバスタブがついているし、高級なところは違うなあ。2年前のイスタンブールとは大違いである。

 風呂に入ってのんびりしたら、急に眠くなった。考えたら、もう夜12時近い。明日はワルシャワ市内を大冒険する予定なので、とっとと寝た。

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