歴史小説家 三浦伸昭の歴史ぱびりよん

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世界旅行記

ドイツ旅行記(附第三次チェコ旅行記)

9月18日(日曜日) ベルリン到着


 

(1)旅行決定までの経緯

(2)出発

(3)映画など

(4)読書など

(5)ヒースロー空港

(6)テーゲル空港

(7)ブールヴァードホテル

 


(1)  旅行決定までの経緯

  今年は、もともとGWにトルコに行く予定であった。

 どうしてかというと、昨年の秋に、行きつけの英語学校で「トルコのEU加盟問題」をテーマにディベートをやったことから、「トルコ萌え」の友人が急増したためである。

 ところが、仲間たちに職場での異動があったり、さらに東日本大震災の影響を受けたりで、GWが忙しくなった人が急増した。そのため、残念だがトルコ旅行はキャンセルとなったのである。

 実は、論説コーナーに載せた「概説トルコ史」は、この旅行に備えて仲間たちに読ませる目的で書いたのだったが、その意味では無駄になってしまったわけだ。

 次善の策として、9月の第4週(この週は大型連休の関係で、平日3日だけ休めば1週間遊べた)にイギリスに遊びに行くプランが浮上した。トルコ・ディベート仲間の一人(ikuko)がロンドンに転勤していたからである。しかし、他の仲間の日程調整が難航したため、最終的にこのプランもパアになった。

 こうして俺だけ、9月第4週が暇になってしまった。仕方ないので、一人でロンドンに行こうかとも考えたのだが、実はこの街には一度行ったことがあるのだった(「イギリス旅行記」参照)。そこで「どうせ行くなら、未経験の場所に行きたいなあ」とネットサーフィンしているうちに、ドイツ東部を鉄道で縦断してプラハまで行くという、個人旅行のパッケージプランを発見した。

 最近、実はプラハの夢をよく見るのである。考えてみたら、大好きなこの街に10年近く行っていないのだから、恋しさも募るわけだ。しかも、「飛行機ではなく鉄道でプラハに入る」というプランは、非常に魅力的に思えた。また、この旅行を主幹するIACEトラベルは、以前にハンガリー旅行で利用したことがある旅行会社で、信頼度も高い。そこで、さっそくネットで申込みしたのであった。

 ところが俺の申込みが遅かったせいで、旅行会社の方で、往復に便利な飛行機がなかなか取れない。結局、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)のロンドン経由便の割高の座席を予約する羽目になってしまった。しばし渋りつつも、「まあ、それならロンドンの空港でikukoに会えるから丁度良いか」と何でも前向きに考えて頷く俺であった。

  

(2)出発

  さて、9月18日の朝が来た。

 ロンドン行き飛行機は10:55発なので、東京駅7:00発の成田エキスプレスを予約した。興奮しすぎたせいか朝5時に目が覚めたのだが、二度寝すると寝坊が危険なので、そのまま家を出た。東京駅で缶コーヒーなど飲みながら時間を潰し、いつものボストンバックと青い肩掛けカバンで列車に乗り込んだ。今回は、体調万全である。

 成田空港第2ターミナルでは、2万円をユーロに替えて、KDDIのブースで海外用携帯端末をレンタルした。

 以前に比べて「気が利いているな」と感じたのは、成田の両替所。「2万円パッケージ」というのがあって、こちらが2万円を差し出すと、窓口で即座にビニール入りの180ユーロと小銭のお釣り(日本円)を渡してくれるのだ。おそらく、「1万円パッケージ」とか「3万円パッケージ」もあるのだろうけど、両替所でその日の朝に為替相場をチェックして、事前に用意をしておくのだろう。これは、顧客にとってもスタッフにとっても、窓口で一々計算してお勘定するより効率的でメリットがある良い方法だと思う。誰かが、もっと早く思いつけば良かったのにね(笑)。

 続いて、BAのブースでEチケットを首尾よく入手し、腹が減ったのでターミナルの食堂でビーフカレーなど食べ、東京海上日動の保険に入り、免税店を冷やかして時間を潰し、それから順調に飛行機に乗り込んだ。ロンドンまでは12時間の長旅だ。

  

(3)  映画など

  最近の飛行機は、機材が良くなったせいか、エコノミークラスでも座り心地が良くて寝やすい。朝が早かったせいで眠くなった俺は、出発早々に爆睡したのであった。

 目覚めてすぐに昼飯だったのだが、イギリスの機内食だから当然のように不味い(笑)。だからといって食べないわけにもいかないので、燃料補給のつもりで無理やり腹に詰めた。それでも酒類は無料だったので、白ワインの味を楽しんだ。この点では、アメリカの航空会社(=酒類有料)より良心的じゃないか!さすがはイギリス。

 何よりも嬉しかったのは紅茶だ。やはり、機内食でもイギリスの紅茶は本当に美味いな。そういうわけで、酒よりも紅茶を熱心に注文した。

 さて、落ち着いたので映画でも見よう。最近は、各自の席で勝手に好きなものをチョイスできるようになって便利である。

 とりあえず、「Super8」だ。これは、詰まらなかった。でも、詰まらないのは予想通りだったから、機内にて無料で見たのは大正解だ。スピルバーグの映画は、基本的に俺の感性と相性が合わないらしい。っていうか、これって何を語りたいのかテーマが全く見えない作品だった。もう終わりかな、スピルバーグ。語りたいテーマを失った作家ほど惨めなものはない。

 次に見たのが「マイティ・ソウ」。この手のアメコミは、外れが無いから良い。ただ、「アイアンマン2」とストーリーが密接にリンクしていたのは、どうかと思うぞ。「アイアンマン」に興味がない人は、いったいどうすれば良かったんだろう?俺は「アイアンマン」の大ファンだから問題なかったけど、マーベルさん、ちょっとやり過ぎじゃないの?

 次に見たのが、日本映画の「プリンセス・トヨトミ」。これは、予想以上に酷い映画だった。面白いとか詰まらないとか以前の問題で、ストーリーが完全に破綻しているのである。よく、こんなもの作ったねえ。別の意味で感心である。

 思うに、日本人の優秀なストーリーテラーは、みんな海外に移ってしまうか、あるいはゲーム産業や漫画・アニメ産業に行ってしまうので、映画界にはもはやゴミクズみたいな人材しか残っていないのだろうな。

 それに加えて、いわゆる「製作委員会システム」の弊害も深刻である。このシステムは、不特定多数のスポンサーを集めるのに至便だから、「製作資金集め」には非常に有利である。しかしこのシステムの下では、当然ながらスポンサーの力が強くなりすぎてしまう。そして、映画を広告宣伝の手段としか考えないスポンサーたちは、映画自体の完成度にも物語の品質にも全く興味をもたず、自社製品を劇中でアピールすることだけに血眼になる。その結果、ストーリーの整合性がグチャグチャな映画が出来てしまうのだ。このシステムの中では、映画監督や脚本家は、どんなに酷い作品をスポンサーによって強制的に作らされたとしても、「カネ」の前に平伏して泣き寝入りするしかない。だから、心ある優秀な作家はこの業界から逃げ出してしまい、その結果、ゴミクズのような人材しか残らないという悪循環だ。

 そうとでも考えないと、最近の日本映画の酷さは理解できない。ある意味、無料で見たのは大正解である。逆の意味で、すごく勉強になった。もうダメなんだね、日本は。

 映画に飽きたので、音楽チャンネルに切り替えて洋楽を聴きまくった。特に、Duran Duranの新作「All  you need is now」、なかなか良いじゃん。原点回帰かな。帰国したらCD買おうっと。

 

(4)  読書など

 やがて音楽鑑賞にも飽きたので、次は読書に勤しんだ。

 まずは、東直巳の「探偵はバーにいる」を読んだ。最近、映画化されたので(正確に言うと、映画化されたのは続編の方だが)興味を持ったのである。だが、詰まらなかった。

 探偵の仕事をリアルに描くのは大いに結構なのだが、主人公の「動機」が描かれていないのは大減点だろう。主人公の探偵「俺」は、社会の最下層の人たちのために体を張って奮闘する。そんな「俺」は、依頼人とその周辺の人間たちを「クズ」呼ばわりして軽蔑している。それなのに、どうして彼らのために命をかけて働くのだろうか?

 いわゆる「ツンデレ」なのかもしれないが、その辺りの動機をちゃんと説明ないし描写してくれないと、主人公の行動原理が理解できず、したがって「俺」のことを好きになれない。主人公のことが好きになれなければ、物語に感情移入できない。したがって、小説全体が詰まらない。つまり、この小説は「基本」が出来ていないのである。基本が出来ていない作品は、他がどんなに良くてもダメである。

 また、人名や地名がやたらに多く出て来るのだが、それぞれの人物や場所の個性がまったく立っていないので、読んでいて「これ、誰だっけ?」「ここ、どこだっけ?」と頭が混乱してくる。描写力が無いのなら、出て来る人物ごとないし場所ごとに、いちいち簡単な注釈を入れるべきだろう。優秀な作家は、例外なくそうしている。やはり、東さんは基本が出来ていないのである。

 映画と同様に、日本の優秀なストーリーテラーは、もはや小説家にはならないのかもしれないな。小説家稼業は、よほどの売れっ子に成り上がらない限り、たいしてカネにならないし(実感として・・・)。

 次に、東野圭吾の「幻夜」を読んだ。これは面白かった。さすが東野さんは、他の有象無象とは訳が違う。

 私見では、いわゆる「白夜行」シリーズは、ミステリーではなくてホラーだと思う。ストーリーの焦点が、謎解きではなく、「悪のヒロイン」の凶悪無比な暴れぶり(笑)にあるからだ。物語の構造は、貴志祐介の傑作「黒い家」に良く似ていると思う。

 ただし「幻夜」は、ホラー物の続編が持つ特有の構造問題に呪縛されていた。

 ホラーの怪物が最も恐ろしいのは、その「正体が分からない」時である。

 「エイリアン」シリーズを例に取ると分かり易いのだが、「エイリアン」はリドリー・スコット監督の1作目が一番怖くて、続編が進むにつれてグダグダになる。どうしてかと言うと、1作目のエイリアンは正体が良く分からず、姿さえほとんど見えないので、だからこそ不気味で怖いのだ。逆に、2作目以降は、観客が怪物の正体を良く知っているので、エイリアン自体はあまり怖くない。それに気付いたジェームズ・キャメロン監督が、「エイリアン2」をホラーではなく「戦闘アクションもの」として撮ったからこそ、あの映画はなんとか成功したのである。

 同じ理由で、「幻夜」は「白夜行」よりも怖くなかった。怪物の正体が、読者にバレているからである。東野さんは隠そうと努力しているけど、「続編」と銘打った時点でバレるので無駄な努力だ。そのせいか、怖さよりもむしろ、ブラックジョークというか暗いユーモアが感じられた。それはそれで良いのだけれど。

 それにしても、東野さんは「悪女」を描くのが本当に上手い。逆に、可愛い女性を描くのは下手くそだから、この人って本当は女嫌いなんだろうね。無理やりにリアリティ皆無な可愛い女性(定食屋の有子ちゃんとか)を描くくらいなら、もっともっと悪のヒロインをバリバリ出して残虐非道に活躍させてもらいたいものだ。

 東野さんの女性観って、俺のそれと近いかもしれない。「白夜行」シリーズの悪のヒロインを見ていると、「女って、実際にこういう生き物だよな。俺の身近な女性たちも、知力、胆力、美貌の一部ないし全部が欠けているから出来ないだけの話で、本当は白夜行のヒロインみたいになりたいんだろうな」と心底から思えるのだ。こういう風に女性の「本質」を抉り出して「ホラー」に出来る才能こそが、東野さんの真骨頂だろう。もっと、こういうのを書いて欲しい。

 次に読んだのがスティーブン・ハンターの「ハバナの男たち」。革命前夜のキューバ(1952年)を舞台に、アメリカとソ連のスパイ合戦が戦われる。ハードボイルドものとしては面白かったけど、歴史ものとしてはダメである。

 アメリカのCIAとソ連のKGBは、若き貧乏弁護士フィデル・カストロを「恐るべき人材」と観察して、それぞれアプローチを開始する。CIAは彼の才能を恐れて殺しにかかり、逆にKGBは彼の才能を愛し保護し教育しようとする。ところが、その肝心のカストロは、血気盛んなだけのダメ青年として登場する。カストロ青年は、苛烈なスパイ合戦の最中にKGBから教育を受けて、さらに過酷な経験を経て、その結果ようやく偉い人間に成長するという話の流れなのである。だが、そうすると話に矛盾が出て来る。CIAとKGBは、どうして、「成長する前のダメ人間のカストロ青年に注目した」のだろうか?

 これは、素人歴史家が陥り易い罠である。我々は、歴史の結果を知っている。フィデル・カストロが、多くのライバルを出し抜いて、多くの困難を乗り越えてキューバ革命を成功させたことを知っている。だから、帰納法で「カストロは昔から群を抜いて優れた男で、世界中から注目されていたはずだ」と安直に考えてしまうのである。だが、実際の歴史は偶然の連続で成り立っている。1952年の時点では、カストロよりも有能で優秀な若手革命家はキューバに大勢いたはずだ。結果的に、彼らが殺されるか失敗したために、カストロ一人がたまたま勝ち残ったという、それだけのことなのだ。しかし、素人歴史家にはそういう考え方は出来ない。何もかもが、偶然ではなく必然だと考えたがる。だから、タイムパラドックスのような矛盾したストーリーが出来てしまうのだ。

 でも、小説自体は面白かった。アメリカ(CIA)よりもソ連(KGB)の方が、良心的で正義感の強い組織として描かれるのは、最近の、キューバを舞台にしたハードボイルド小説の定番である。著者スティーブン・ハンターはアメリカ人なのだが、祖国が過去にキューバに成した巨悪をよく勉強した上で書いているので、こういった書き方しか出来なかったのだろう。かなり良心的な作家だと思う。キューバファンとしては、好感が持てる。

 あ、これらの小説は、ロンドン行きの飛行機の中で全て読破できたわけじゃありません。旅行日程いっぱいかけて読んだ感想全部を、ここに纏めて書いています。念のため。

  

(5)ヒースロー空港

  いろいろと楽しんでいるうちに、ヒースロー空港の第5ターミナルに到着した。時に午後3時である。

 ここには、18年前にバンちゃんと一緒に来ているはずだが、俺の記憶が風化している上に空港自体が様変わりしすぎていて、まったく既知感が湧かない。だいたい、18年前には第5ターミナルなんて無かったはずだ。とりあえず、乗継便の出発ターミナルまで構内電車で一駅分移動する。

 この空港で風変わりなのは、各飛行機の発着場の場所が、出発の1時間前になるまで掲示されないことである。空港側からすれば、フレキシブルに乗り場を変更できて便利なのかもしれないが、乗客サイドからはちょっと焦る。出発の1時間前に必ず掲示板をチェックしに行かなければならず、その結果によっては、広大な飛行場の中を大急ぎで右往左往しなければならないからだ。

 俺は、とりあえずBAの国際線乗り場に向かい、パスポートチェックと荷物検査を受けたのだが、係員に聞いたところでは、どうやらこの場所で間違いないようだ。それにしても、2年前のヒューストン空港に比べると、各種チェックはスムーズだった。イギリス人は、やはりアメリカ人より賢くて要領がいいのかもしれないな。

 ベルリン行きの乗継まで4時間もあるので、ボストンバックを抱えつつ、空港内の各種店舗を見て回った。さすがはロンドン、お洒落な空港である。

 「コーヒーくらい飲みたいな」と思いつつ、各店の料金表を見ると、すべてポンド表記だった。そうか、イギリスではユーロは使えないのね。かといって、コーヒー1杯のために両替したりカード払いするのも何だかなあ。ビミョーに悩みつつ、椅子に座って読書に夢中になっているうちに時を忘れた。

 やがて、ベルリン行き飛行機の乗り場が表示されるようになったので、そちらに移動して、午後6時40分発のミニジェット機に乗り込んだ。

 

(6)テーゲル空港

  BAのミニジェットは順調に飛行し、約2時間でベルリンのテーゲル空港に到着した。時に午後9時25分である(ロンドンとの時差1時間)。パスポートチェックはほとんど目くら判だったので、あっと言う間に到着ロビーに出てしまった。

 しかし、小さくてボロい空港だ。ほとんど、ウランバートル(モンゴル)並だ。とても、天下の大ドイツ(ドイッチュラント・ウーバー・アレス!(萌))の首都空港とは思えない。

 もっともベルリンには、南郊に国内線向けのシェーネフェルト空港があるので、そっちはもっと立派なのだろう。外国からベルリンに来る人は、フランクフルトなどに降りてから、国内線でベルリンに移動するのが普通なのだと思う。それが証拠に、俺が乗って来た国際線の飛行機には、ビジネスマン風の雰囲気の人はほとんどいなかった。ロンドンから帰省するベルリンっ子と思われる庶民的な風情の人ばかりだった。

 さて、小さな空港だと、市内への移動手段を見つけるのが容易である。ツォー駅行きのXLバスを探すと、バス停はすぐに見つかった。自動券売機を探すと、これもすぐに見つかったので、さっそく2・3ユーロの1回券を購入する。ドイツの自動券売機は、お札もちゃんと使えて便利である。

 ちょうどXLバスが居合わせたので、乗り込むとすぐの出発だった。さっそく、切符をガチャコンと車内の刻印機に押し込んで印字させた。これは、ヨーロッパの市内を移動する際の基本である。

 真っ暗な郊外を20分ほど走ると、もうベルリン市街だ。街から随分と近いところに空港があったんだね。もう時間も遅いので、ありがたいことである。

 

(7)ブールヴァードホテル

  バス終点のツォー駅で降りた。

 ここは、大きな高架の鉄道駅に隣接して無数のバスターミナルが並ぶ場所である。いわば、ベルリン西郊の一大根拠地だ。でも、ツォーというのは略称で、正式名はツォーロギヒャー・ガルテン、すなわち「動物園」なのである。すぐ近くに、「ベルリン動物園」があるからだ。交通の一大根拠地が「動物園」という名前なのは、何とも拍子抜けするところではあるが、人間も動物の一種なのだから、人間が大勢集まる動物園と言って言えなくもないわけだ(笑)。

 さて、予約が入っているブールヴァードホテルは、ここから南に少し下ったクーダム地区にあるはずだ。まずは動物園の正門を発見し、自分の位置を地図上で正確に把握してから、勇躍して南に向かって歩いたのである。

 今になって気づいたのだが、すごく「寒い」。おまけに、パラパラと雨も降って来た。どうも、幸先が悪い感じだ。早くホテルに入らないと、冷凍人間になってしまう。

 困ったことに、ホテルが見つからない。間違いなく地図に表記された場所に来たはずなのに、その場所に立つビルの1階に、ホテルへの入口が見つからない。そんなバカな。

 困ったので、遠く離れてから問題のビル全体を眺めると、6階建てビルの最上層にブールヴァードホテルの看板があった。じゃあ、やっぱりあのビルで良いんじゃん。

 そこで1階をくまなくチェックすると、小さな入り口を発見。人一人がかろうじて入れるくらいの古びたガラス戸があり、その手前にホテルの小さな看板が立っていた。ガラス戸を覗き込むと、そこには小さなエレベーターホールがあるだけ。どうやら、受付は上階にあるということらしい。しかも、このエレベーターホールは無人だった。

 ・・・久々のボロホテルである。一等地クーダムのホテルだから、もっと立派なものだと予想していたのだが、これには意表を突かれた。しかも、このガラス戸が開かないのである。ロックされていてビクともしない。ホテルのくせに!

 おまけに、冷たい雨がどんどん激しくなって来た。いきなり何の罰ゲームだ、これは!

 他にも入口があるのかしらん?と、ビルを一周してみたのだが、やはりホテルの入口はここ一箇所のようだ。しょうがないので、ホテルに電話を入れて開けてもらおうと思ったら、ドアの横にボタンがあることに気付いた。このブザー(?)を押せば人が出て来るのかと思いきや、ドアのロックがいきなり外れた。なんだかシュールである。外からボタンを押せば外れるロックって、いったい何の意味があるのだろうか?(苦笑)

 ともあれ、小さな入口ホールに貼ってあった案内に従って、6階までエレベーターで上がる。ガタガタギシギシ音がして、何だか怖いリフトだな。

 6階に着くと、エレベーターホールの向こう側が広い部屋になっていて、ちゃんと受付と食堂になっていたので安心した。レセプションのブースの中に金髪のブサイクな女の子が2人いたのだが、ペチャクチャお喋りに夢中で応対してくれない。こっちが声を上げて割り込んで、ようやくチェックインに漕ぎ付けた。

 部屋は4階の408号室で、古びた大きな施錠式の金属のカギを渡された。これって、今どき珍しいね。キューバのホテルでさえ、電子式のカードキーだったのにね。階段で2フロア降りて、目指す部屋を探し当て、鍵穴に鍵を押し回して入室した。おっかなびっくり室内を見回すと、意外と普通の部屋だったので安心した。ただ、この部屋を内側からロックするためには、ドアの後ろに付いているダイアルをグルグルと手で回して施錠しなければならない。これはこれで、シュールで楽しかったわけだが。

 バスルームには、案の定、バスタブはない。ヨーロッパだから、これが標準である。ましてや、ボロホテルだもんね。さっそくシャワーを浴びようとしたら、蛇口が壊れていて四方八方にお湯が飛び散った(笑)。まあ、お湯が出ないよりはマシであろう。

 とにかくシャワーを浴びてさっぱりしたので、目覚ましをセットしてさっさと寝た。明日は、ポツダムとベルリン市内を観光する予定である。

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