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5月1日(金曜日)~プラハ到着。スラヴ叙事詩鑑賞。


(1)ドバイ国際空港

(2)プラハ空港からホテルへ

(3)スラヴ叙事詩

(4)ホレショビッツ地区~ヴァーツラフ広場へ

(5)市民会館~ノヴェ・スミーホフ


 

(1)ドバイ国際空港

 

目が覚めた後の機内では、ジャック・ケッチャムのホラー小説「オフスプリング」を読んだり、映画の「ニンジャタートルズ」を見たり、ロックやクラシックを聴いたりして過ごした。幸い、3人掛けの真ん中の席が空席だったので、隣に腕を伸ばして気楽に過ごせた。

夜発の飛行機だと、そのまま寝れば良いので、生活のリズムを崩さずに済むから良い。こうして、あまり退屈を感じないうちに、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイ国際空港に到着した。空港構内への通路で自衛官を何人か見かけたけど、誰か有力者のお出迎えだろうか?

さて、せっかくのドバイで、しかもトランジット5時間待ちなので、市街に散歩に出たいところだったが、なにしろ到着が午前4時だったので、外は真っ暗である。陽が上るのを気長に待ったところで、早朝では、ほとんどの店が開店前だろう。だったら意味が無いので、空港内で過ごすことにした。

ドバイ空港は、以前に訪れた隣国カタールのドーハ空港よりは、広くて綺麗でショップも充実していたが、思ったよりも単調な造りで面白くなかった。なんというか、機能的過ぎるのである。オランダのスキポール空港のように、迷路みたいなグネグネした構造の方が、散歩する分には遥かに楽しい。

そういうわけで、早々に散歩に飽きたので、バーガーキングで腹ごしらえ(カード払い)をしてから、リクライニングチェアで仮眠を取った。この空港には、あちこちに大きめのリクライニングチェアが置いてあってナイスである。

そういえば、俺の「海外一人旅で、必ずバーガーキングを食べる」記録は、依然として更新中である。そして、海外で食べるワッパーは、日本の物より明らかに美味い。調理法は同じはずだから、やはり食材に差があるということだろうか?毎回、首をかしげる論点である。

ともあれ、熟睡できたせいで、あっという間に5時間が過ぎて、プラハ行き9時5分発の飛行機に乗り込んだ。周囲のチェコ人は、あまりイケてない。同じスラヴ民族なのに、ロシア人やポーランド人に比べると美形が少ないのは、やはりドイツ人のブサイク遺伝子が混入したせいだろうか?(悲)

飛行機の窓からドバイの有名建築を見られるかと期待していたのだが、俺の席は機体の右端でしかも主翼の真上だったので、主翼の隙間からペルシャ湾しか見られなかった。おそらく、左側に座っていれば、街の様子も少しは見えたはず。まあ、今回は仕方ないだろう。

青く輝くペルシャ湾を北上するエミレーツの機体は、やがてイランとイラクの国境地帯に入った。見渡す限りの茶色の荒れ地である。人間はもちろん、どんな生物の存在も許されないような、断崖と枯れ谷に覆われた凄まじい茶色が延々と続くのだ。地球は、本当に広くて奥深い。

などと感慨にふけっている場合ではない。この飛行機は、これからイラク東部を北上してクルド人地域からトルコに入るわけだが、いわゆる「イスラム国」はミサイルとか撃って来ないだろうか?トルコを抜けたら、今度はクリミア半島の西側をかすめるわけだが、やはりウクライナの分離主義者どもがミサイルとか撃って来ないだろうか?まあ、心配しても仕方ないことだが、眼下の非情な荒れ地を見ていると、ああいう厳しい宗教やイデオロギーが生まれて、殺し合いが日常化する背景が分かるような気がする。

景色にも飽きたので、映画「アイアンマン3」を見たり、音楽を聴いたり、読書したりで過ごした。

「アイアンマン3」はこれまで未見だったのだが、なかなか面白かった。相変わらず、アメリカの軍産複合体へのブラックな批判に満ちていて、良心的なストーリーだった。あの変態主人公が、いきなり真人間に更生(?)した過程が、少々強引だったような気もするが。

音楽は、主にクラシックを聴いたのだが、なぜかドヴォルザークやスメタナといったチェコ音楽は、ライブラリーの中に無かった。おいおい、こいつはプラハ行きの飛行機じゃないのかね?仕方ないのでチャイコフスキーなど聴いたけど、微妙に欲求不満である。

そうこうするうちに、定刻通り13:30にプラハ空港に到着した。

ああ、何もかもが皆、懐かしい!

 

(2)プラハ空港からホテルへ

 

何度も来ている空港だから、構内の構造は何もかも知っている。

荷物も、いつものように機内持ち込みで来たから、回転寿司型テーブルで待つ必要が無い。そこで、構内の両替所で2万円を約3,500コルナに替えて、入国審査も目くら判でパスし、あっという間に外に出た。まずは「公共交通機関3日券」を、インフォメーションセンターにて、310コルナ(約1,500円)で入手する。

この空港は、昔はルジェニ空港という平凡な名前だったのだが、今では「プラハ・ヴァーツラフ・ハヴェル空港」という物々しい名前に変わっている。3年前に前大統領のハヴェルさんが亡くなったので、改名したのだ。だけど、構内にハヴェルさんの銅像が立っているわけではないし、空港設備もそれ仕様に改装された気配が無い。そういうところが、質朴なチェコクオリティであろう。アメリカなどと違って、上品なところが素晴らしい。だから俺は、チェコが好きなのだ。

 

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戸外に出ると、小雨で肌寒い。119番のバス停で、バスを待つ合間にセーターを着用する。どうも、チェコ旅行では雨に降られる確率が高いようだ。俺って雨男なのか?(笑)

勝手知ったる119番バスで、地下鉄ディビッチェ駅を目指す。もちろん、バス内の刻印機に3日券を通すことを忘れない。

小雨模様の懐かしい田舎道をバスはプラハへと疾走する。ところが、記憶よりも手前の場所で終点になったので、「おや?」と首をかしげつつ降車したところ、バス停は「ヴェレスラヴィン駅」という名の新しい地下鉄駅と接続していた。駅構内の路線図でチェックしたところ、この地下鉄A線は大幅に延長したようで、かつての終点駅ディビッチェから空港方面に数駅分伸びていた。そこで空港バスの終点も、空港寄りに変更になったということらしい。

・・・「地球の歩き方」には、そんな情報無かったぞ!まあ、いつものことだが。急成長している国に行くと、こういうことは日常茶飯事なので、今さら腹も立たない。

ともあれ、新築の臭いもかぐわしい「ヴェレスラヴィン駅」から緑色のA線に乗ってムステーク駅まで行く。ここで黄色いB線に乗り換えて、アンジェル駅まで。そこからエスカレーターで地表に出ると、懐かしいアンジェルの繁華街だ。チェコ風ホットドックの屋台が並んで賑やかだ。そして、おお、懐かしの巨大スーパーマーケット、「ノヴェ・スミーホフ」が健在だ!

 

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今回の旅行は、㈱エスティーワールドという会社にネットで申し込んだのだが、いつものように飛行機とホテルだけ予約してもらって、後は自由行動という格安プランである。宿泊するホテルは旅行直前に決まったのだが、ここアンジェル地区に新設された「IBISホテル・マラーストラナ」であった。それが嬉しいことに、お気に入りの「ノヴェ・スミーホフ」の西隣に位置するのである。これは、スーパーに入り浸るしかないぞ!

でも、とりあえずチェックインだ。ホテルの受付にヴァウチャーとパスポートを見せて、サインをすれば手続き終了。その際、漢字のサインを指差しつつ、受付の青年に「日本の漢字だよ」とアピールしたのだが、「ごめん、意味分からないです」と、すかした反応だった。

この間のドイツ~チェコ旅行で、お店のお姉さんに漢字のサインを珍しがられたものだから、今回それとなくアピールしてみたのだが、未知のものに興味が無い人が相手では仕方ないね。

部屋は3階の313号室だ。エレベーターに乗ったら、清掃のお姉さんが居合わせた。俺が普通にボタンを押そうとしたら、「先に部屋カードを入れなきゃダメじゃない!」と英語で注意してきた。そこで、彼女が指差した端末にカードを入れようとしたら、「向きが逆よ!」と、また怒られた。こいつ、なんで上から目線なんだろう(笑)。「じゃあ、君がやってよ」とカードを渡して、全部やってもらった。チェコの女性は美人が多いのだが、頭が良くて気が強そうで、ちょっぴり苦手である。間違って結婚でもしようものなら、一生、家畜奴隷として搾取されそうだ(笑)。

しかし、比較的低層のホテルなのに、エレベーターがカード式とは意表を突かれた。っていうか、受付の青年は、最初にそれを俺に教えるべきだったよね。

さて、部屋は白色を基調とした上品な造りである。IBISホテルグループは、フランス発祥なので、デザインは西欧風だ。そして、浴室には湯船が無くてシャワーのみ。まあ、今回は滞在日数が少ないので、お風呂が恋しくなることはないだろう。

スマホの時計を見ると、時刻は14:30なので、なかなか良いペースで来られたね。

重い荷物を置いて、肩掛けカバンの準備をすると、さっそく出発だ。

最初の目的地は、ヴェレトゥルジュニー宮殿。アルフォンス・ミュシャの傑作「スラヴ叙事詩全20作」のオリジナルを見るのだ!

 

(3)スラヴ叙事詩

 

アンジェルの繁華街から12番トラムに乗れば、自動的にヴェレトゥルジュニー宮殿に着くはずだ。乗り込んだ新型のトラム車両は、全ての座椅子を白檀の木製にしていて雰囲気が良い。行先案内も、すべてデジタル表示だ。そして、車内アナウンスも的確に入る。

「この国は、すでに日本に並んだな。いや、追い抜きつつあるのか?」と、頼もしく感じつつ車窓を楽しむ。

ヴルタヴァ川西側のマラーストラナ地区を北上したトラムは、聖ミクラーシュ教会で右折し、ヴァルトシュタイン宮殿前に出てから、レトナー公園前のつづれ坂を登った。加賀谷くんと、レトナー公園を散歩した13年前が懐かしいな。

丘を登り切ったトラムは、ホレショビッツ地区に入ると右折し、平坦な丘の稜線沿いに進み、それから交差点で北上した。

やがて「ヴェレトゥルジュニー宮殿」駅でトラムを降りたのだが、肝心の宮殿がどこだか分からない。きょろきょろ周囲を見回すと、なんだ、トラム駅の道を挟んだ反対側に巨大なのが建っているじゃん。あまりにも無味乾燥で社会主義チックなガラス張りの建物で、プラハのイメージに合わないものだから、俺の脳が受け入れることを拒絶したのかもしれぬ。

中に入ると、常設展とミュシャ展とで、チケットが別売りになっていた。受付のお婆さんから180コルナ(約1,000円)でミュシャ展のチケットを買ってから、二重扉で隔壁された広大な展示室に入る。「スラヴ叙事詩」は、高さ8メートルもある巨大な絵なので、こういう巨大空間じゃないと飾れないのである。

実を言うと、今回の旅行の最大の目的が、この絵画群を鑑賞することなのである。それが、空港到着後2時間で実現することになろうとは。

この「スラヴ叙事詩」全点は、もともとモラフスキー・クルムロフという田舎の城に置いてあったのが、2015年末までの限定公開でプラハに来ているのである。つまり、これを鑑賞するためには2015年中にプラハに来なければならず、それで今回、かなり無理な日程調整をして、押しかけたというわけ。

やはり、本物はでかいし凄いな。

ミュシャの絵は、群像を描く場合が多いのだが、モブそれぞれが個性的で異なる顔を持ち、異なる表情を浮かべているのが特徴である。それをじっくりと観察するためには、やはりオリジナルの巨大キャンバスに接するしかない。

館内は意外と混んでなかったので、じっくりと5往復して全点を隈なく鑑賞した。

これで旅行目的は完遂された。帰国するか。

なんちゃって。まだまだ他にやることがあるのだ。

展示場を出て、ショップで「スラヴ叙事詩」の絵葉書を3枚買った。ヤン・フスと、ヤン・ジシュカと、ペトル・ヘルチツキーが出ている奴。つまり、拙著『ボヘミア物語』のメインキャラね!硬貨を財布から出すのにモタモタしていると、売り子のお婆さんに笑われてしまった。慣れないお金だし、3時間前に来たばかりなのだから、仕方ないじゃん!

同じフロアに、前衛芸術の無料展示もあったのだが、あまり心を惹かれなかったので、そのまま宮殿を出た。

 

(4)ホレショビッツ地区~ヴァーツラフ広場へ

 

プラハはこれで4回目なのだが、考えてみればホレショビッツ地区に来たのは今回が初めてだ。天気も、曇ってはいるが雨は止んでいて、なんとか大丈夫そうだ。それで、しばらく散歩することにする。

しかし、毎度のことだが、外国に来た気がぜんぜんしないね。言葉も文字も通じないのに、故郷に帰ってきたような気分になるのは実に不思議である。前世がチェコ人だったとか、そういうことだろうか?

ヴェレトゥルジュニー宮殿の前の道を北上すると、ガイドブックで見たことがあるユニークな建物が見えて来た。ラピタニウムと通称される見本市会場である。興味を惹かれて覗き込むと、家族連れの乗用車が引っ切り無しに現れる。そして、ラピタニウムの前庭はチェコ人の家族連れで大賑わいであるから、どうやら市民バザーないしお祭りをやっているらしい。

・・・金曜日の午後4時なのに?

考えたら、平均的なチェコ人は、夕方には仕事を終えて帰宅するのが普通である。すなわち、いったん帰宅してから、家族と合流して遊びに来ている人が多いのだろうな。

両親に連れられた大勢の子供たちの幸せそうな笑顔を見ていると、「少子化対策」の最も効果的な方法は、早く帰宅して家族と過ごすことだという気がする。子供の情操教育のためにも、この方が良い。

 

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実は、ラピタリウムで遊ぶプランもあったのだが、非常に混雑しているので、今回は諦めた。入口を素通りして、東に向かう。これから、ホレショビッツ駅とバスターミナルの様子を視察するのだ。

地図も見ないで適当に歩いたのだが、大丈夫かね?たぶん、この方向で合っているはずだが。と、かなり適当に進んでいると、難なく地下鉄駅とバス停に到達した。しかし、こちらはホレショビッツ駅の南口であり、地下鉄と市内バスしか接続していない感じだ。そこで北方を望見すると、ハイウェイを挟んだ反対側に大きな国鉄の駅ビルと大型バスターミナルがある。こちらの方が情報収集に便利だと思ったので、迂回してハイウェイを超えて、ホレショビッツ駅の北口にやって来た。

今回の旅行では、この駅から高速バスを利用してテレジーンに行く予定がある。そこで今のうちに、バス停の位置と利用方法を正確に把握しようと考えたのだ。

 

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バスターミナルに入ると、いきなり路肩に置かれた巨大な看板に「テレジーンは7番乗り場です」と、チェコ語で大書してある。実は、テレジーンって人気スポットなのかね?しかし、チケットはどこで買えば良いのだろう?

バス停にはいくつものオンボロの木製の小屋があって、それぞれが案内所になっているのだが、どこも鍵がかかっていて無人だった。もしかすると、今日は終バスが終わってしまって終業なのかもしれない。念のために、バス停に隣接した国鉄駅の様子も伺ったのだが、ここでは電車の切符しか買えそうになかった。

とりあえず、様子は分かったので遊ぶとするか。と思いきや、ホレショビッツはプラハ市民の生活圏であって、観光スポットではない。その事実を反映してか、駅とその周辺は灰色のコンクリートでゴツゴツした感じで、昔の社会主義のままである。駅構内や付近のお店も、小さな雑貨屋と軽食屋、そしてマクドナルドがある程度だった。

あんまり楽しくなさそうなので、この地区の散策を打ち切って、地下鉄C線のプラットホームを降りた。

赤色のC線を数駅南下して、プラハ新市街に戻る。博物館(ムゼウム)駅で降りて地表に出ると、国民博物館の真裏に出た。なんだ、博物館はまだ改装工事中か。その正面のヴァーツラフ広場は、外国人観光客で溢れている。まあ、ここはそういう場所だよね。

考えてみたら、4年前の旅行では、早朝7時にここを歩いたきりである。そこで、大賑わいの様子をのんびりと楽しみながら北上し散策することにした。

途中、懐かしさに惹かれて行きつけの書店「Academia」に入ったところ、どうやら発売間もない「ハヴェル伝」の新刊本が山積みになっていた。大きいし分厚い!699コルナってことは、日本円で約3,500円か。この厚さと重さなら、リーズナブルである。なんちゃって。仮に、もっと高価だったとしても買ったけどね。

 

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実を言うと、今回の旅行目的の2つ目が、「ハヴェル関連資料の入手」だったのである。10年くらい前から、故・ハヴェル前大統領の伝記小説を書きたかったのだが、日本にはマトモな資料が無い。それで、ご本人が物故されて数年後のプラハなら、きっと良質な資料があるだろうと期待していたのだ。その期待は、到着後わずか4時間にして適えられたのである。

こうして肩掛けカバンはすっかり重くなったのだが、せっかくなので旧市街方面に足を延ばしてみる。

馴染みのムステーク交差点まで来ると、そこに大型スクリーンが設置されていて、その周囲にはピルスナーウルケルのビールスタンドが立ち並んでいる。そして、大勢のチェコ人がビニールコップに入ったビールを楽しみながら、おりしも上映中のアイスホッケーの国際試合を前に大盛り上がりだ。

なるほど、チェコはビールとアイスホッケーの国なのである。

 

(5)市民会館~ノヴェ・スミーホフ

 

ところが、ここで雨が降ってきた。しまった。傘をホテルに置いて来てしまったぞ。

でも、とりあえず「市民会館」でコンサート情報を得たいので、ナ・プシーコピエ通りを共和国広場方面に足早に歩く。

その途中で、セグウェイに乗った若者たちを見かけた。凄いな。チェコでは解禁なのか。日本では、ようやく議論が始まったばかりだというのに。

いくつもの屋台やレストラン、デパートを懐かしく眺めつつ、「黒い聖母の家」や「火薬塔」といった名所に挨拶しつつ、穏やかな緑の屋根が美しい市民会館に辿り着いた。

今日はさすがに疲れているので止めておくけど、滞在中に一度くらいはクラシックのコンサートに行きたいな。そう思いつつポスターを見ると、明日の夜6時から、ヴィバルディやモーツアルトといったミーハーな曲目のコンサートがあるぞ。ミーハーな曲には興味がないけど、「スメタナ・ホール」で演奏してくれるなら行く価値がある。ポスターには会場の具体名が無かったので、受付で聞いてみると、前回聴いたのと同じ地下ホールでやるらしい。なんだ、詰まらぬ。それに、6時からというのも、微妙に開始が早すぎる。そういうわけで、今回の市民会館でのコンサート鑑賞は諦めることにした。そもそも、この場所は団体観光客で異様に混んでいるしね。そういうのは、避けたい気分である。

市民会館を出て共和国広場を眺めると、相変わらず「プラハ・ウォーキング・ツアー」の受付ブースが有るし、スーパーマーケット「パラディウム」では、何やら賑やかなイベントを開催中である。「パラディウム」って、いつも何かイベントやっているよね。俺は、庶民的でいつも静かな「ノヴェ・スミーホフ」の方が好きだな。

などと考えているうちに、雨が激しくなって来た。しょうがないので、旧市街広場の南側を経由して、ハヴェル通りからムステークに戻る。

夜6時だし、今日はもう打ち止めかな。

ここから地下鉄B線に乗って、アンジェルに戻った。そして、大好きな「ノヴェ・スミーホフ」だ。ああ、この庶民的スーパーは、ぜんぜん変わらないなあ。しばし店舗を物色しつつ、3階の娯楽・飲食エリアまでエスカレーターで上ったが、4年前と店の並びもまったく同じだ。ならば、バーキンやマクドやスタバやケンタなどに目をくれる暇はない。チェコ料理専門店「チェコの世界(チェスキー・スヴェト)」に行くしかない。4年前は、ここでビールだけ飲んだのだが、今回は料理も試してみよう。

・・・しかし、いつもガラガラな店だな。経営は大丈夫なのか?でも、ここは一人でも入りやすい雰囲気なのでナイスである。海外で一人旅だと、メジャーなレストランに入りづらいことがあるからね。

奥の方の席に座ると、店員の青年が「ビール?」と短く聞いて来たので、「そうだよ」と応えたら、間髪入れずにジョッキが来た。この店はスタロプラウメンの銘柄しか置いてないので、話が早くて簡単である。ああ、やはり本場のスタロプラウメンは美味いな。

料理は、野菜スープと、定番の「ヴェプショー・クネドロ・ゼーロ」を頼んだ。これは要するに、豚肉と酢キャベツと蒸しパンの3点盛りである。これの甘酸っぱい味付けが、ビールに良く合うのである。美味すぎて、ビールをお代わりしつつ食事をしっかり楽しんだ。満足したので、「釣りは要らないぜ」とばかりに、お勘定を少し多めに払ってお店を出た。日本円で1,500円程度だったので、リーズナブルである。

 

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レストラン「チェコの世界」は、ビールはもちろん、料理も美味いことが判明したので、この旅行中もう一回くらい来ても良いかな。などと考えつつ、広大なスーパー内を散策する。

馴染みのTESCOの2階で本やCDを物色したら、一等地にあったはずのCD売り場が消滅していた。まさか!と思って探したところ、子供用の絵本コーナーの隅に小さなラックが置いてあって、そこに飾られているのが、この店にある音楽CDの全てである。ああ、音楽不況の波はこのスーパーにも押し寄せて来たのか。

微妙に寂しい思いをしつつ、1階に移動してレモンティーや菓子パンを買った。今回の旅行は、朝飯抜きの格安プランだったので、朝飯も自分で調達しなければならぬ。

ほろ酔い気分でホテルに帰って、時計を見たら夜8時だ。眠いので、さっさと寝ることにする。そして、朝は早起きするのだ。それが、俺様のいつもの旅行流儀である。

そして明日は、クトナー・ホラに出かける予定である。